第32回福岡県理学療法士学会
学会長 齊藤 貴文
(令和健康科学大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 講師)
テーマ「VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧)時代の理学療法を考える」
開催趣意
グローバル化の進展や技術的な進歩の加速により、我々を取り巻く環境はより複雑さを増し、将来を予測することが困難な時代へと突入しています。このような不安定性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)が加速する時代はVUCAと呼ばれています。VUCAはもともとアメリカで軍事用語として発展しましたが、現代社会においてはビジネス用語としても使われています。
医療を取り巻く環境はどうでしょうか?超高齢社会による疾病構造の変化と健康長寿への期待の高まりから、医療者には領域横断的な生物心理社会学的視点による病態解釈および要因の因果性を推定する科学的思考能力が求められ、かつ先端技術を駆使した新たな治療戦略および多様性のある共生社会・健康長寿社会の実現に向けた地域予防医療を実現し、社会全体の医療費削減に貢献することが期待されています。このように、人生100年時代における医療・リハビリテーションは、ますますVUCAが加速し、これまでのストラテジーでは解決できない課題に直面してきています。
そこで、本学会のテーマを「VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧)時代の理学療法を考える」としました。本学会では、VUCA時代に育成すべき資質・能力として、分析疫学・支援工学・教育学を掲げ、個人や社会のウェルビーイングに向けた今後の理学療法の方向性を議論していきたいと考えています。
本学会が、VUCA時代における健康寿命延伸・共生社会実現のために我々が何を身に付け、どこに進むべきなのかを考えるプラットホームとなることを期待します。